トラックにはねられて17年間昏睡状態だった叔父が目覚めた。
その叔父を病院まで甥のたかふみが迎えにいったところから物語は始まります。
いわゆる「異世界転生・異世界転移」ジャンルでは、異世界で神様などにチートボーナスを貰って無双する、というのがテンプレートになると思いますが、そのテンプレートをちょっと捻った形に持っていった展開で物語は進んでいきます。
叔父さんが異世界に飛ばされていた間は、元の世界では昏睡状態だった。しかも17歳からの17年間もの長い間。こんな設定に加え、その間に叔父さんの処遇を巡って一家離散しているというかなり重い状態なのですが、異世界の苦難と元の世界の苦難にもパロディやギャグを織り交ぜ、なんともいえない笑いを誘います。
もちろん、テンプレートから漏れずに、叔父さんは他の人ができない能力を持っているのですが、生来のコミュ障と残念な思考回路とその容貌が相まって、異世界において活躍どころか苦難に苦難を重ね続けている姿が描かれています。
物語の進行は、異世界から戻ってきた叔父さんが、その時々に思い出した異世界での体験を魔法でスクリーンに映し出し、甥のたかふみと一緒に回顧する、という一風変わった方法で、展開自体が他の異世界物と異なります。異世界と現実世界を行ったり来たりできる並列的な展開が可能という点で、進行具合の面白さがあります。
さて、このマンガでの面白い点は大きく3つほどあります。
①おじさんのコミュ障と残念な思考から繰り出される行動でより変な方向に
より捻くれてずれた思考回路の叔父さんが、一般のテンプレートとは外れた方向に行動し、真逆の結果を引き起こす。好意をもっていれる可愛い女の子への態度もなんのその。それは照れて言っているだけであって、脅しているわけではないよ！
②マンガからあふれ出るSE●A愛
マンガのところどころにSE●Aのソフト、ハードをネタにし、叔父さんを面白おかしく動かしてこんなゲームもあったなぁと懐かしみつつ笑える要素に仕上げています。ソ●ックとかガーディアンヒ-□-ズとか。懐かしい人は必見です。
③2000年代前後の懐かしい時事ネタ
ツンデレも、ネットスラングのｗｗｗも、笑っていいともやこち亀の終了も、17年間昏睡していた叔父さんは知りません。その時代ギャップを埋める甥のたかふみと叔父さんのやりとりは非常に懐かしいネタとして昇華され、懐かしくも面白く仕上げてくれています。
魅力は色々ありますが、テンプレートとは外れた面白さ。
元ゲーマーの方、今は中年になってしまった方は懐かしさとともに面白さも味わえます。
まだ読んでいない方は、このブログを見た機会に読んでみてはいかがでしょうか。
